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仙台高等裁判所 昭和28年(ネ)347号 判決 1955年4月21日

控訴人(原告) 佐藤万兵衛 外一名

被控訴人(被告) 宮城県知事

主文

原判決を取消す。

本件各訴を却下する。

訴訟費用は第一、二審とも控訴人等の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取消す、被控訴人が昭和二十三年十二月五日附買収令書(昭和二十四年十月十三日控訴人小林重蔵に交付)を以てした仙台市長町字鹿野前六十八番、田三反二畝十三歩に対する買収処分を取消す、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上及び法律上の主張並びに証拠の提出、援用、認否は控訴代理人において、請求の趣旨を当審において前記買収処分の無効確認を取消請求に変更すると述べ、被控訴代理人において右請求の趣旨変更は新たに行政処分の取消を請求するのであるから行政事件訴訟特例法の定める出訴期間を経過した今日においては不適法である、と述べたほかは原判決事実摘示(証拠関係を含む)と同一であるからここにこれを引用する。

理由

控訴代理人は当審において元来の請求の趣旨たる本件買収処分の無効確認を同処分の取消請求に変更したのであるが、そもそも農地買収処分を違法なりとしてこれが取消を求める訴は自作農創設特別措置法第四十七条の二、行政事件訴訟特例法第五条第五項によつて処分の日から二箇月以内にして且つ当事者が処分のあつたことを知つたときにはこれを知つた日から一ケ月内に提起することを要し、右期間を経過したときはもはや訴を提起することができないものであるところ当審でなされた右請求の趣旨の変更が前記出訴期間経過後(昭和三十年三月十日)であることは記録上明白なところであるから結局本訴は不適法なるものとして却下を免れない。

よつて民事訴訟法第三百八十六条、第九十六条、第九十三条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 板垣市太郎 檀崎喜作 沼尻芳孝)

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